物件タイプ別
相続放棄した土地の管理責任|売却以外の選択肢
公開: 2026年1月10日
#相続放棄
#管理責任
#国庫帰属
相続放棄とは
相続放棄とは、相続人が相続する権利を放棄することです。
相続放棄の要件
- 期限: 相続開始を知ってから3ヶ月以内
- 手続き: 家庭裁判所に申述
- 効果: 最初から相続人でなかったものとみなされる
相続放棄が選ばれる理由
- 借金が多い(マイナスの相続財産が多い)
- 土地の管理が負担
- 不動産に価値がない
- 相続問題に関わりたくない
相続放棄しても管理責任は残る?
2023年4月の民法改正
2023年4月1日に施行された民法改正により、相続放棄後の管理責任についてルールが明確化されました。
改正前(曖昧だった)
- 「相続財産の管理を継続しなければならない」
- どこまで管理が必要か不明確
改正後(明確化)
- 「現に占有している財産」に限定
- 相続財産管理人が選任されるまで
現に占有しているとは
占有していると判断されるケース
- その土地に住んでいる
- 土地を使用している
- 管理行為をしている(草刈り、修繕など)
占有していないと判断されるケース
- 土地を見たこともない
- 一度も管理したことがない
- 遠方に住んでいて関与していない
管理責任の具体的な内容
管理義務の範囲
相続放棄者が負う管理義務は保存行為に限られます。
| 保存行為の例 | 具体的内容 |
|---|---|
| 現状維持 | 土地や建物の現状を維持する |
| 応急処置 | 緊急の修繕や安全対策 |
| 保全措置 | 第三者への被害防止 |
管理義務に含まれないもの
- 積極的な修繕や改良
- 売却や処分
- 賃貸などの収益活動
管理責任を怠るとどうなるか
管理を怠った結果、第三者に損害を与えた場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。
例
- 空き家が倒壊して通行人がケガ
- 雑草が繁茂して隣地に被害
- 不法投棄の温床になり行政から指導
管理責任から解放される方法
方法1:相続財産管理人の選任
家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることで、管理責任を移転できます。
申立てできる人
- 利害関係人(相続放棄者も含む)
- 検察官
費用
- 申立費用:数千円
- 予納金:20〜100万円程度
期間
- 選任まで1〜3ヶ月
- 清算完了まで6ヶ月〜1年以上
方法2:他の相続人に引き継ぐ
相続放棄しても、次順位の相続人がいれば、その人に管理が移ります。
相続順位
- 子(第一順位)
- 親(第二順位)
- 兄弟姉妹(第三順位)
全員が相続放棄すると、相続財産管理人の選任が必要になります。
方法3:相続土地国庫帰属制度
相続放棄ではなく、相続した後に土地を国に引き渡す制度です。
相続土地国庫帰属制度の詳細
制度の概要
2023年4月から開始された制度で、相続した土地を国に引き渡すことができます。
利用条件
以下の条件をすべて満たす必要があります。
土地の状態に関する条件
- 建物がない
- 担保権や用益権が設定されていない
- 通路として他人に使用されていない
- 土壌汚染がない
- 境界が明確
- 崖地で管理に費用がかかる土地でない
- 管理を妨げる有体物がない
申請に関する条件
- 相続または遺贈で取得した土地
- 共有の場合は共有者全員で申請
費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 審査手数料 | 14,000円(土地1筆あたり) |
| 負担金(宅地・田畑) | 面積に応じて算定(20万円〜) |
| 負担金(山林) | 面積に応じて算定(20万円〜) |
| 負担金(その他) | 20万円 |
手続きの流れ
- 法務局に相談
- 申請書類の準備
- 審査(数ヶ月)
- 承認通知
- 負担金の納付
- 国庫帰属
売却以外の選択肢比較
| 選択肢 | 費用 | 期間 | 適したケース |
|---|---|---|---|
| 相続放棄 | 数千円 | 3ヶ月以内 | 借金が多い場合 |
| 相続財産管理人 | 20〜100万円 | 6ヶ月〜 | 全員が放棄した場合 |
| 国庫帰属 | 20万円〜 | 数ヶ月 | 更地で条件を満たす場合 |
| 売却 | 仲介手数料等 | 1〜3ヶ月 | 価値がある場合 |
| 持分売却 | 低コスト | 1〜2ヶ月 | 共有の場合 |
判断のポイント
相続放棄を選ぶべきケース
- 被相続人に借金がある
- 土地に価値がほとんどない
- 他の相続財産もいらない
国庫帰属を選ぶべきケース
- 土地以外の財産は相続したい
- 土地の条件を満たしている
- 費用を負担できる
売却を選ぶべきケース
- 土地に価値がある
- 現金化したい
- 他の相続人と協力できる
持分売却を選ぶべきケース
- 他の相続人と協力できない
- 自分の持分だけでも手放したい
- スピーディーに解決したい
注意点
相続放棄の期限
相続開始を知ってから3ヶ月以内です。期限を過ぎると放棄できなくなります。
国庫帰属の審査
条件を満たさない土地は承認されません。事前に法務局に相談しましょう。
管理責任の範囲
相続放棄しても「現に占有している」場合は管理責任が残ります。早めに対策を検討しましょう。
まとめ
相続放棄した土地の管理責任と選択肢をまとめます。
管理責任のポイント
- 2023年4月の民法改正で明確化
- 「現に占有している」場合のみ管理責任
- 相続財産管理人の選任で解放可能
売却以外の選択肢
- 相続放棄(借金がある場合)
- 相続財産管理人の選任
- 相続土地国庫帰属制度
当サービスでは、相続した土地の処分についてご相談を承っています。売却か他の選択肢か迷っている方も、お気軽にご相談ください。